駐日イタリア大使館の後援をいただいて、今年最後の「健康増進イタリア料理の食事会」@トラットリア ケ パッキア(東京 麻布十番)を楽しく終えることができました。イタリア外務・国際協力省が世界で展開する「世界イタリア料理週間2025」の一環のイベントでもあります。


ケ パッキアの酒井 辰也ェフの修行先のひとつであるエミリア・ロマーニャ州の料理をベースに、晩秋から冬のお勧め食材をとり入れていただいたディナー。
健康のことを考えるからといって、(一社)SALUTEが美食をあきらめることは絶対にありません。
前菜はふくいサーモンのマリネ ジャルディニエラ添え、ティジェッレ ペスト・モデネーゼ、ラディッキオと洋梨のサラダ クルミのソース。


ジャルディニエラってピエモンテ州の野菜の酢漬けではないの? と最初思ったのですが、同州はよくよく見るとピエモンテ、トスカーナ、ヴェネト、マルケ州と接しているので、シェフによると、それぞれの州の郷土料理に似たものがあるのだそうです。
梨は肺を潤すので、乾燥する晩秋に最適。くるみは冬の五臓「腎」を補い、冬や高齢者に不足する陽の気を与えるとされ、エイジング世代には大切な食材。
ペストに加えたラルド(豚の脂)は体を冷やす性質をもちます。冬は意外にも、精を蓄えるのために、体を温める食材と冷やす食材の両方をとって陰陽の両方の腎の気を育てるのです。
タラのボローニャ風は、代表理事の中村浩子が訳者のひとりである19世紀のアルトゥージの『イタリア料理大全 厨房の学とよい食の術』からシェフが選んでくださいました。タラは歴史的にイタリアのカトリック教が肉食を禁ずる日に食べられ、たんぱく質豊富です。


感激したのが、クリスマスの時期に現地で食べられるトルテッリーニ・イン・ブロード。
現地では入れない、体の表面と胃を温める生姜をブロードに入れていただいたのですが、感じるか感じないかぐらいの生姜の味付けが絶妙で、実にすばらしかったです。
「ブロードは煮たててしまうと濁るので、沸くか沸かないかの火加減で6時間かけました」と酒井シェフ。
ラザーニャには、食物繊維豊富でコレステロールの低下も期待できる菊芋を入れて。
エゾ鹿のローストに添えられたレンズ豆もソッフリットの味だけで滋味深い。鹿肉は体を中から温めてくれる、冬に最適な食材です。


ズッパイングレーゼもプリンが層にはさまれて、今まで食べたことがないタイプ。
最後には、同店のオーナーであるピアット・スズキの鈴木弥平シェフによるパネットーネまで出していただきました! 鈴木シェフはパネットーネ世界大会で入賞経験が何度もあるほど、パネットーネがお得意です。


山口ソムリエは、ルガーナ、グレケットなどイタリアワインに詳しい方も満足できるようにと土着品種ワインをセレクトくださいました。ケ パッキアには常時200本近いワインが揃っているとか。



今回はわたしによる講座も料理の合間あいまにしっかり聞いていただき、会員様の還暦祝いサプライズも含めて、今年最後の食事会をなごやかに、満たされて終えることができました。
40歳になられたばかりの職人気質の実力派、酒井シェフの腕前、たっぷりと見せていただきました。酒井シェフ、山口ソムリエ、スタッフの皆様、本当にありがとうございました。
